実際に働いている皆さんから働く魅力をぜひ聞かせていただきたく、座談会を設けさせていただきました。障害者支援の経験がない方にもぜひお届けできればと思います。

高齢者の介護ではなく、障害者支援の領域で働く魅力を教えてください
金沢さん:
私は高齢介護から障害者支援に転職してきました。障害のデイサービスが最初だったのですが私は障害者支援の方が楽しいなと思います。
障害者支援のデイサービスにきて、雑誌を見て「このひとかっこいい」とか一緒に過ごすという感覚を経験したというのがすごく新鮮でした。みずきに入居されている方は障害を抱えてから年月もたって高齢化してきた方も多いので、一緒に過ごす密度はもっと濃くなったと感じます。入居なので一緒に買い物に行ったり、雑誌を読んだりということとはちょっと同じようにはならないですがね。
岡野さん:
私は前職も同じ障害者支援だったんですけど、コミュニケーションが重要だなと感じます。入居の担当なのでご利用者の生活を全部こちらがサポートしていくので細かい決まりがある方などはコミュニケーションをしっかり取っていかないとご本人が困ってしまうかなと思います。なので「あれじゃない、これじゃない、じゃあこれはどうしたらいいのか」といろんなひととのコミュニケーションが取れるのはいいことだな。と思います。
膳場さん:
コミュニケーション大事ですよね。僕はここが福祉の仕事が初めてで、まったくの未経験でここに入ってきたので、最初は福祉の仕事がどういうものなのかも分からないし、初日に部署の先輩から初めてが障害者支援だと、結構ハードかもしれないよと言われたのをすごく覚えています。
でもこれまで約2年経ってみて、やっぱりコミュニケーションがすごく活発で、もともとひとと話したりすることが好きっていうのがあるのですごい毎日楽しいなぁと思って働いています。未経験でもちろん大変なこともいろいろあったんですけど。ここまで先輩方やいろんなひとの助力を借りて乗り越えられてきたのは良いことなのかなという風には思います。

大谷さん :
私はこれまで高齢者の訪問介護や訪問入浴しかしてこなかったので、入職前は精神のひとが多いのかなとなんとなく思っていたのですがイメージとは違いました。私が入社したのが2018年で、当時はやまゆり園の事件の直後で障害者って恐いというイメージが少しあったのですが、在宅介護と違って施設では医療職の方も多く、物も揃っているのでそこがいいなと思いました。
入職して頑張ってこれたのは、やっぱり先輩のフォローですかね。新人の時、利用者対応でなかなかご利用者の思うとおりに自分ができなかったりコミュニケーションがとれなかったり、ご希望に添えずうまくいかなくて辛かったです。そんな時に先輩にはコツを聞いたり、直接一緒に現場に入ってもらったり具体的に現場レベルのアドバイスをもらうことをサポートいただきました。そうすることで、僕だけでなくご利用者もイメージができてきて、お互いにすり合わせることができたように思います。

金沢さん:
私も毎日葛藤しました。うーん。今も乗り越えてはないですね。笑
入ったばっかりの時はとにかく追いつかなくて。自分の手技も、ご利用者の話もやっぱりコミュニケーションがとれないので、そこで時間が取られて仕事が進まない。 それで更に周りに迷惑かけてるんじゃないかっていうふうに自分を責めてしまう時もありました。それは今でも変わらないかもしれないですね。

膳場さん:
どうやって前向きにやってこれたんですか?
金沢さん:
私が教えてもらった先輩に、「とにかく今は急がずに丁寧にお仕事をしなさい」っていうふうにアドバイスいただきました。丁寧じゃなくなったら、あとで丁寧にすることもできなくなるよって言われて。 一度雑なところが身についちゃうともう後で修正できなくなってしまう。とにかくその言葉を信じてねって言われましたね。あとここに入りたいから手伝ってほしいというように自分から頼めるようになりましたね。頼んだら同僚や先輩はみんな助けてくれるということがわかるようになりました。
まあ慌ててもしょうがない。その時は助けてもらうようにしようということですね。
コミュニケーションの課題について乗り越えた方法やどうやって前向きにやってきたのかというところを他にも教えていただけますか?
岡野さん:
ご利用者のなかには私たちの話すスピードよりもゆっくりになってしまう方もいて、それに対して「なんで、もっと早くしゃべれないんだ」って思ってしまっても障害の特性でしゃべれないということを理解して、待つ忍耐力を持つしかないと思います。
最初はご利用者に対してもイライラしてしまうことがありました。やっぱり周りに聞きますね。「この方の伝えたいことってこういうことなんですか?」「話す時にこういったことがあるんですがそれって私の時だけなんですかね?」と聞いて「いやそんなことないよ。私の時もそうだよ」などと言ってもらえると、みんなの時もそうなんだ。私だけじゃないんだと気持ちが楽になります。ご利用者との対話のなかで、なんで自分だけなんだろうと思っちゃうのが嫌でした。「ご利用者に何か求められているのか」、「私の接し方が悪いのか」と自分を責めちゃうと悪循環になってしまって。そうなる前にいろんなひとに聞いたり相談することが大事ですね。

大谷さん:
これって自分だけ?というのは、いやーそれは本当にありますよね。
ただそれを相談できる仲間がたくさんいます。やっぱり、ずっともやもやするんですよね。同僚や先輩に聞くと分かることが多いから言い合わないと厳しいですよね。
金沢さん:
そうですね。でも障害者支援施設みずきは話せる環境や空気があると思います。
岡野さん
溜まったストレスを支援でご利用者にぶつけるのは違うと思うんです。それで利用者に危害を加えたら元も子もないですよね。

金沢さん:
雰囲気は良いと思いますね。みんなが一杯一杯だとこう話を聞いてもらえないところもあるのかなと思うんですけど、そこはやっぱりみんなお互いのことを見ているような良い雰囲気があります。
大谷さん:
ストレスをちゃんと取らないと、毎日のケアなので明日支援に入るのが辛くなっちゃうと思います。だからちゃんと他のひとに意見を聞いてその日のうちになんかしてみることが大切かと思います。
膳場さん:
私も未経験で入って、コミュニケーションの壁にはめちゃくちゃぶつかりました。どうしてもコミュニケーションを取るのが難しい方は最初うまくいかなくて、そのせいで時間もかかっちゃうし、最初はどんどん自分をマイナスに考えてしまっていました。
でもへこたれなかったのはただ「やめてたまるか」という思いを強くもつようになったことが多分一番だと思います。反骨心じゃないですけど、ひと同士のコミュニケーションなので、どうしても嫌だなということもありました。それもいろんなひとに話を聞いてもらって前に進んできました。
今振り返ってみると時間が経つとご利用者のことも分かって、徐々に打ち解けることもできました。でも対応するご利用者によると思います。みずきは同性介助なので男性と女性職員でかかわるご利用者が別れるので。
金沢さん:そうだね。でもため込んじゃうひとは続かないのかなと思います。こっちも「なにか困ったことがないですか?」と上手に聞けたらいいんですけど、話を聞いてほしいって行動できるひとじゃないと「これって自分だけかな?」って悩んじゃうと思います。たぶん遠慮して先輩に聞けないのもわかるんですが、誰かに自分の辛い気持ちを伝えてもらえたら周りのみんなが力になれると思います。
大谷さん:
そのひとのキャラクターや思考、人格が少しずつわかってくると、ご利用者の言ってることが理解が難しいことでも受容できる部分も増えると思いますね。お互い歩み寄れるというような感じですかね。
膳場さん:
お互いに慣れるというのもありますね。介助されるのに利用者さんが慣れるというのと、こちらも支援させていただくのに慣れる、そういうものもありますね。
金沢さん:
ご利用者によっては新入職員さんだからっていうことでさらに不安になりやすいひともいますもんね。ある程度時間が必要なひともいると思います。
新しく来たときに、思うようにいかないという壁があるのは当然みんな通る道ということですね。 みなさんがプライドを持ってやり続けられているのは、みずきさんの良さがあるからだと思うのですがぜひポイントを教えてください。
大谷さん:
そうですね。上司がいつも相談にのってくれるところはありがたいです。それと上司に何度聞いても嫌な顔をせずに教えてくれるのでそれもとてもありがたいです。
金沢さん
うん。何回も教えてくれますね。怒ったりするところは見たことないですね。上司には困ることに対しての意見も相談もどちらも言いやすいですね。
岡野さん:
私は個別支援計画で記載する文言をうまくまとめられなかったりした時に、サービス管理責任者さんに相談して言いたいことをまとめるサポートをしてもらったり、上司に相談するとそのひとなりの答えをくれるし、助けてもらえるっていうのはよくあるかなって思います。
それと、希望休がとおりやすいので休みがとりやすいのもポイントですかね。

膳場さん:
そうですね。休みが取りやすいのはありがたいです。あとは、1人夜勤の職場も多いかなと思うんですが、夜勤帯は男女2人ずつ4人はいるので職員が1人だけにならないところがいいなと思います。誰かしらいてくれるってことはいつでも相談できるのが安心だなって働いていて感じます。
金沢さん:
やっぱり人間関係が良いところですね。同僚もだし、上下関係、他の課とお互い考え方が違うんで話し合うこともあると思うんですけど、今まで勤めてきた施設と比べて人間関係が良いなと感じます。
膳場さん
私も施設見学に来た際に職員さん同士の空気感がいいなって感じましたね。
岡野さん:
私もこれまでの職場と比べても職員さん同士お互いに話しているなって感じますね。
こういう方に来てほしい。こんな方だったら活躍できるという人物像を教えてください。
大谷さん:
他者を尊重でき、自身を大切にすることができるひとですかね。
金沢さん
たしかに。自分を大切にできるのは大切なことですね。自分で弱いと言えるひとは強いひとだと思います。心身ともタフなひとが活躍できると思います。
大谷さん:
それと前職は関係ないなって思います。それよりも人格が重要だなって感じます。
未経験でも問題ないと思います。
膳場さん:
仕事は仕事、プライベートはプライベートでとストレスを他で発散できるのも大事ですよね。 個人的に飲みに連れていってくれる先輩もいましたし、その時にはいろいろ話を聞いてもらいました。
岡野さん
やってあげなきゃ!と思っちゃうと、多分歯止めが利かなくなってきちゃうのかなって。 自己犠牲しすぎちゃうようなひとだったらやりすぎてしまうかもしれません。無理のない範囲で支援を継続していくことが大事ですね。できないことはできないという考えも大切かもしれません。本日は実際に働くみなさんの意見を率直に伺えて障害者支援においてコミュニケーションが改めて重要なんだということが非常によくわかりました。瞬間的なことだけでなく、長く生活を支えていくという点で継続可能な支援を提供していくことが大切ということもお話しを聞いて気づきをいただきました。また別のテーマでもお話を伺えるのを楽しみにしております。どうもありがとうございました。
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編集後記:
お話を聞いた膳場さんのように障害者支援になじみのなかった方でも、未経験からしっかりステップアップできる環境があるのは心強いですね。社会福祉法人足立邦栄会の多摩エリア(府中、狛江)では「障害者支援施設みずき」を中心に、入居以外の障害者支援の施設も運営しています。興味を持っていただいた方はぜひ見学など来て実際に目で見ていただけるときっとそのひとに合う事業所が見つかるのではと感じました。

